マーストリヒトで出会った彼女のこと

同じクラスになったことをきっかけに、僕は背の高いオランダ人の女の子と仲良くなった。

それまで仲良くなった外国籍の友だちは、みんな日本に興味がある人たちだった。彼女は違った。日本にそれほどなじみがなく、日本人と話したこともほとんどない。僕にとって、そんな友だちができたのは初めてだった。

だからこそ、日本とは違う習慣やものの見方が新鮮だった。

ある日、その子の家に遊びに行ったときのこと。僕は勝手に中に入らず、招かれるまで玄関で待っていた。

「礼儀正しいのね。オランダでは、勝手に中に入っていく人がほとんどだよ」

そんな些細な文化の違いが、とても印象に残った。

ずっと仲が良かったわけではない。小さな行き違いをきっかけに、最後の2か月はずっと喧嘩をしていた。でも会うたびに、彼女は「話し合おう」と言ってくれた。

大学の校舎の裏で、街の中心の広場で、何度か二人で話した。何かあったときは、きちんと言葉にして話し合い、解決する。そんなオランダの精神を、僕は彼女との関係を通して身をもって体験した。

僕らが友だち以上の関係になることはなかったけれど、僕は彼女から本当にたくさんのことを学んだ。

マーストリヒトを離れるとき、彼女は「一生大切にする思い出ができた」と言ってくれた。

今では、連絡を取ることもほとんどない。文化の違いは本や授業だけで学ぶものではなく、一人の人と深く関わることで初めて見えてくるものがある。彼女との出会いは、僕の留学生活の中でも、今も心に残っている大切な体験の一つだ。

コメントを残す

Banri Ozawa.comをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む